福岡市城南区   森 律子

父がやっていたバラを私もやることになろうとは。

唯一記憶に残るのはピースという名のばら、鼻をつまむような匂いの手作り液肥、噴霧器で消毒をする姿、水苔とビニールで巻いた接ぎ木、一緒に行ったばらの展示会、天真爛漫にバラと温室の間を走り回る私、 もっとちゃんと聞いておけば‥‥。

時を経てなぜか知らずかバラ苗を一本一本集めるようになり、その年の五月も植物園情報館2階へとんとんと上がりみると(赤司さんの)バラ苗がない!
聞いてみようとお部屋にひょこっと顔をのぞかせたのが運命の瞬間!
受付のお二人に「まぁ、そこに座んない」「あんた、ばら好きな!?」と促され、こうしていつのまにか福岡ばら会に入会となったのです。後に小林正子会長、山本前副会長のお二人と知ることに。これは父の導き、計らい!??


悠久のときの流れのなか、人と人がであう奇跡。
それを大切にしたい思っています。家族、友人、近隣の人々、同好を一にする方々、そしてバラとのこの奇跡の出会いも。

方丈の庭に一本のシマトネリコの木、ここにメジロをはじめ様々な鳥が来る。
スノーグースのローズヒップでもついばみにくるのかしらん。
夏の盛りにはセミがかまびすしい。ばらとばらの間にハーブもそこここに。
しゃがんで作業をする耳元でミツバチがぶんぶん羽音をたてる。

てんとう虫の幼虫はそっとそのままに。庭で孵化したかまきりを空き地に放ち、今やりっぱにばらの守り番。
梅雨時はかたつむりや雨蛙もおめみえ。
ここは小さな小さなビオトープ!
そのためにも衣食住そしてばらもゆるいオーガニック仕様。
みんないっしょに、みんな生きている!

太陽と風と月と星のなか我が家の庭も地転じてんをくりかえす。


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